施設や設備の紹介
機械工学領域
- 「示差走査熱量計」
- 材料に温度変化が生じた場合の物性変化を調べるため、熱測定は様々な分野で広く用いられています。
示差走査熱量測定(DSC)もその一つであり、室温から1500度までの測定温度範囲を持つ、熱流束型の示差走査熱量計です。上の写真の左上の加熱炉内部は下図のようになっており、測定試料と基準試料(測定温度間で相変態のない試料)を並べて加熱しながら熱電対でそれぞれの温度を測定し、基準試料との温度差から測定試料の熱的変化を調べることができます。
相変態温度や相変態熱のデータは金属材料の物性を明らかにするだけでなく、熱処理過程における相変態挙動の解析にも利用することができます。
電気電子情報工学領域
- 「量子デバイス研究室」
- 絶対零度に近い極低温で、超伝導という不思議な性質を示す金属があります。量子デバイス研究室では、超伝導になるニオビウム金属を使った電子デバイスの製作をしています。
この電子デバイスはサンドイッチ構造をしていて、サンドイッチの2枚の「パン」の部分が超伝導体で、「具」の部分は薄い酸化膜の構造です。この酸化膜がとても薄いとき、片方の超伝導体からもう一方の超伝導体に電流を流しても、この2枚の超伝導体の間に電圧は現れません。超伝導の電流が流れていることになります。電圧が現れずに流すことができる電流には、上限となる最大値があります。
このサンドイッチ構造に種々の方向から磁界を加えて、この超伝導電流の最大値が変化するようすを調べています。また、サンドイッチ構造素子の周りの磁界分布も、「試料を振動させるタイプの磁束計」で計測しています。
応用化学領域
- 「透過型電子顕微鏡JEM-2010」
- 日本電子(株)製JEM-2010は加速電圧200kVにおいて0.19nmの理論分解能を有する高分解能透過型分析電子顕微鏡です。
電子銃に高輝度LaB6フィラメントを使用し、原子配列を直視しつつ極微小領域のX線分析や電子線回折測定が可能で、種々の材料のナノスケールにおける精密な構造解析も可能です。
また試料の分解やコンタミネーションを防ぐアンチコンタミネーションシステムを備えており、有機物等の電子線照射に弱い試料であっても高分解能観察が可能です。
さらに本装置には走査型透過電子顕微鏡(STEM)モードも装備されていて、電子線が透過しにくい試料の観察や、走査と同時にX線分析を行うことによって試料のX線マッピングを行うこともできます。
応用化学領域
- 「X線光電子分光装置JPS-9010」
- X線光電子分光装置は軟X線の照射によって試料の表面近傍から放出される光電子のエネルギー測定を行い、表面の構成元素や化学結合状態を分析する手法です。
日本電子(株)製のJPS-9010は、静電半球型エネルギーアナライザー、MgとAlのツインアノードX線源および単色化X線源を有するX線光電子分光装置。本装置は分析室と自動ゲートバルブによって隔離された試料交換室に高速エッチングイオン銃を備えており、分析室の真空度を落とすことなく試料の深さ方向分析を行うことができます。
また試料交換室の側方に試料処理室が接続されており、常圧300度以下で試料の処理を行った後に大気に曝さずに分析チャンバーに試料を移送・分析することが可能です。
経営工学領域
- 「生産システムシミュレータ」
- 生産システムシミュレータは、コンピュータの中に仮想の工場を作ることができる実験実習設備です。各工程の処理速度、必要なバッファの大きさ、機器の台数などを実際の生産システムで変更して試運転をするのは大変な時間と費用が必要です。しかし生産システムシミュレータを使えば、様々な条件を容易に変更でき、その結果を3次元のアニメーションで観察することができます。この生産システムシミュレータを利用して、競争力のある生産システムの設計と運用方法を学びます。
応用物理学領域
- 「核四重極共鳴測定装置」
- 物質材料はその電気伝導性から、金属、半導体、絶縁体に大きく分類され、金属材料のなかには低温で電気抵抗がゼロとなる超伝導を示す物質もあります。また、強磁性や反強磁性などの磁気的性質を示す磁性材料もあります。これらの性質は物質中での電子の振る舞いに起因しています。その電子の振る舞いを微視的に調べることができる実験手段の1つが核四重極共鳴(NQR)測定です。NQR測定では試料物質に電磁波(ラジオ波)を照射し、そのときの試料中の原子核磁化を測定します。NQR測定装置は電磁波の送信部や受信部などが装備されたNQRスペクトロメータと測定試料を10ケルビン以下の低温まで冷却することができる冷凍機システムで構成されています。このNQR実験装置は材料開発の研究において、新しい電子材料の電気的、磁気的性質の解明に役立ちます。
建築学専攻
- 「構造解析振動実験装置」
- 地震など地盤の揺れを2自由度で再現するテーブル、加振機とその制御装置。
写真はテーブル上に耐震構造(奥)と免震構造(手前)の2棟の高層建築物の模型を取り付け、その振動性状を測定している様子です。